本研究においては、Grand Rapids種レタス種子を材料に用いて、ジベレリンA_<20>からジベレリンA_1への変換を触媒する3β水酸化酵素を単離することを初期の目的としていたが、種子の供給元である米国のFerry More社に在庫がなく、さらに種子がレタスモザイクウイルスがおかされていることが明かとなり、材料として不適当であることが解った。そこで、急遽材料をインゲン黄化芽生えに変更した。インゲンを材料として選択した理由は、インゲン未熟種子からは同酵素の単離例が存在し、同様の方法を当てはめられる可能性が大である。さらに、レタス種子に比べてインゲン胚軸は個体のサイズが大きく、大量の材料の入手が容易である。しかしながら、従来の報告ではインゲンの3β水酸化酵素の活性に光が関与しているか不明であり、まずこの点を明らかにすることとした。その結果、インゲン種子をバ-ミクライトを用いて25℃暗所で培養すると、播種後6日から7日目が最も成長が早くかつ最も光による伸長成長抑制が明確に現われた。光による伸長成長抑制効果は7Wm^<ー2>で飽和し、連続9時間の光照射で初めて24時間連続照射のレベルまで成長が阻害された。この結果は、インゲン胚軸伸長成長もレタスの場合と同様に「高エネルギ-光反応」の介在により制御されていることが明かとなった。次に、胚軸切片の伸長成長に対するジベレリンの影響を調べてみたところ、ジベレリンは暗黒下で培養した胚軸の伸長成長には何等の促進効果ももたらさないが、光照射により伸長が抑制された条件では、ジベレリンの投与により伸長の回復が起こり、10^<ー6>M以上の濃度では効果は飽和し、そのレベルは暗黒対照と同等であった。この結果から、インゲンにおいても光はジベレリンのレベルを通して成長を制御している可能性が高くなった。現在、光の制御部位を検討中である。
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