研究概要 |
平成3、4年にわたる研究の成果を以下にまとめる。 1)青色光に依存するソラマメ孔辺細胞プロトプラストからのプロトンの放出が、ミオシン軽鎖キナーゼ)(MLCK)の阻害剤ML-7とML-9およびカルモジュリン(CaM)拮抗剤W-7などに阻害される事から、この反応にカルモジュリンとカルモジュリン依存のミオシン軽鎖キナーゼが関与する事を示唆した。 2)次に、これらの阻害が、さらにH^+-ATPaseを活性化するフシコクシンを添加することにより回復することを示し、W-7やML-7が青色光シグナルがプロトンポンプに伝達される過程を阻害している事を示した。 3)また、ツユクサの表皮を用いて、光による気孔開孔反応が、W-7やML-7に阻害されるが、フシコクシン添加により回復されることを示した。 4)酢酸フェニル水銀、プロトノフォアであるCCCP,H^+-ATPaseの阻害剤DCCDがプロトン放出と気孔開孔を阻害することを示したが、これらの阻害はFCにより回復されなかった。 5)青色光に依存する孔辺細胞プロトプラストのプロトン放出がカルシウムチャネルブロッカーであるヴェラパミルに阻害される事を見出した。この阻害はFCにより回復された。 以上の結果は、気孔の青色光効果にCaMやMLCKが関与する事を示している。 6)孔辺細胞を明・暗両条件においた時の蛋白質のリン酸化を調べた。その結果、26kDの蛋白質が光により、脱リン酸化されることを見出した。この蛋白質は、光に対する挙動、細胞内局在、分子量などから葉緑体の集光性クロロフィル蛋白質複合体(LHCPII)であることを示した。このLHCPIIの光に対する挙動は、葉肉細胞のものと逆であり、その意味については、現在研究中である。
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