1 明所で育てたキュウリ胚軸のジベレリン(GA)による伸長促進と、アブシシン酸(ABA)による伸長阻害が、表皮細胞及び皮層細胞の表層微小管の配向の変化とどのように関わっているかを調べた。表皮細胞の切線方向面では、斜め配向のMTを持つ細胞が多いが、表皮細胞と皮層細胞の放射方内面では、ほとんどの細胞が伸長軸に対して直角配向のMTをもっていた。GAは全ての細胞でMTを直角配向に変え、ABAは全ての細胞で斜めまたは平行配向のMTを増加した。GAとABAは相反的に作用した。表皮細胞の切線方向面のMT配向と胚軸の伸長速度との間には高い相関が見られ、直角配向の細胞の頻度が高いほど、伸長速度は大きかった。 2 GA受容体の異常と考えられるトウモロコシの矮性D_8と正常体とに於て、幼葉鞘の成長と表皮細胞のMT配向との関係を調べた。D_8の細胞長はNに比べて顕著に短く、従って成長も小さい。これはD_8の表皮細胞では斜めまたは平行配向のMTをもつ細胞が顕著であることと関係がある。GA合成阻害剤のウニコナゾールで処理すると、NでもD_8でも成長は顕著に抑えられ、平行配向のMTをもつ細胞が増加した。幼葉鞘の成長は、内生GAによるMT配向の変化を通して調節されている。 3 新しい植物ホルモンのブラシノライドはジベレリンと同じく伸長軸に対して直角配向のMTを持つ細胞を増加させることが、キュウリ胚軸切片のの表皮細胞で認められた。この効果はブラシノライドが切片の伸長を促進し始める処理後6時間頃から認められた。 4 黄化エンドウから抽出したチュウブリンのin vitroの会合は、GA及びブラシノライドによって促進された。
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