研究概要 |
光合成の活性は光により制御されるが、その主な要因として炭酸固定酵素(ルビスコ)の生合成の環境条件による制御があげられる。本研究では、緑藻オオハネモの葉緑体中にあるルビスコを主体とするタンパク顆粒であるピレノイドの成分とルビスコ合成系の機構について調べた。具体的な実績は、以下の通りである。 (1)ピレノイドを単離精製して、タンパク質の電気泳動を行ったところ主成分のルビスコの大小サブユニット以外にも95、67、51KDaの徴少成分が見い出された。これ等のN末端のアミノ酸配列はルビスコの大サブユニット(54KDa)のものと一致した。葉緑体中では、大きさの異なるいくつかの大サブユニットがあると思われる。また。ピレノイドの周辺に多イデンプン粒には、スタ-チシンタ-ゼとルビスコ大サブユニットが含まれていた。(論文1) (2)このルビスコの遺伝子(rbcL)の構造を調べたところ、ニつのエキソンを持ち、イントロン部分には0.8KbpのORFがあった。二つのエキソンとイントロンをプロ-ブにしたノザンハイブリダイゼ-ションでは、それぞれ、0.7,0.7,1.4Kbpのバンドを得た。両エキソンに対するmRNAはrbCL全体(1.4Kbp)よりはるかに小さく、ほぼ各々のエキソンの長さであった。このことは、イントロンを含むRNAが合成されてその後スプラクシングされるという、通常の眞核生物でのmRNA合成方式と異なる方法でルビスコ大サブユニットが作られることを示唆している(論文2) (3)mRNAを暗条件と明条件で抽出したところ、明条件下での方がRNAの発現が多かった。また、二つのエキソンとイントロンを発現ベクタ-に入れることが出来たので、タンパク合成の有無を調べている。
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