研究概要 |
1.Fe-SセンターB(F_b)の再構成 ホウレンソウ光化学系I粒子では、HgCl_2処理によりF_bが破壊され、NADP^+光還元が失活する。この失活がF_bの破壊によって起こるという推論を証明するためにF_bを再構成し、このときNADP^+光還元活性も回復するかどうかを調べた。F_b破壊標品をNa_2S,メルカプトエタノール,FeCl_3と嫌気条件下、室温でインキュベートするとF_bは約75%の収率で再構成されることがESR測定により確認された。このときNADP^+光還元活性は全く回復しなかった。ところが、再構成時にMg^<2+>を共存させると光還元活性も回復することが判った。以上の結果より、NADP^+光還元活性が失われた原因はF_bの破壊によるものと結論した。 2.緑色光合成細菌Chlorobium tepidumの光化学系反応中心粒子の精製 緑色細菌の反応中心は,Fe-Sセンターを結合していることが報告されていたが、Fe-SセンターはO_2に対する感受性が高いため、精製は因難であった。われわれは、好熱性のC.tepidumを材料とし,精製操作中の嫌気性の維持に細心の注意を払い、Triton抽出、ショ糖密度匂配超遠心、イオン交換・ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーにより、Fe-Sを結合している反応中心粒子を精製することができた。粒子の主要ペプチドは6種で、P840当たり約20分子のバクテリオクロロフィルを結合していた。Fe-Sセンターは光により、また、ジチオナイトにより還元された(EPR測定)。粒子に結合したcyt c551は、室温で閃光照射により酸化されたのち、半減期約20msで再還元され、生理的条件下でFe-Sセンターが電子伝達体として機能していることが示された。
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