研究概要 |
1.メダカ孵化酵素の成分プロテア-ゼ,HCEとLCE,に対するポリクロンにおよびモノクロン抗体を用して、免疫ブロット法により、発生過程における両酵素の生成と、単離分泌顆粒内における両酵素の在存状態をしらべた。HCE,LCEともに、受精後2〜3日目の胚で出現し、孵化直前まで増加し、孵化とともに消失する。発生中の胚には成熟酵素(HCEは24K、LECは25,5K)とともに、それぞれの抗体と反応する、それらより高分子量のタンパク質(34.5〜36.5Kおよび38K)が見出され,これらはプロ酵素であろうと思われる。単離分泌顆粒の免疫細胞化学的分析によって、同一顆粒にHCEとLCEが共に局在することがわかった。さらに、顆粒中央部にはHCEが、また顆粒周縁部にはLCEが分布することも明らかとなった。 2:発生中の胚から得たmRNAを用いて作ったcDNAライブラリ-から、抗体を用いてHCEとLCEのCDNAクロ-ニングを行った。両者のORFはともに20アミノ酸からなるシグナルペプチドを含み、プロペプチド部はそれぞれ、59および50アミノ酸である。また、成熟した酵素部分はともに200アミノ酸である。これらの結果は(1)に記したプロ酵素の存在を支持するものである。HCE、LCEともに、プロペプチド部分に糖鎖がついている可能性が高い。 3:HCEの卵膜に対する作用機構をしらべるために、HCE分子の断庁化を行った。分子量約10Kの断庁の中に、卵膜を結合する活性を有するものが得られている。今後、この断庁の構造を明らかにし、卵膜と結合する部位の構造を明らかにするとともに、卵膜膨潤作用の機構を解明して行く予定である。
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