研究課題/領域番号 |
03640619
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
冨永 佳也 福岡大学, 理学部, 教授 (70078591)
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研究分担者 |
下東 美樹 福岡大学, 理学部, 助手 (60078590)
西川 道子 福岡大学, 理学部, 助手 (30078563)
伊東 綱男 福岡大学, 理学部, 講師 (40131809)
横張 文男 福岡大学, 理学部, 教授 (20117287)
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キーワード | 中大脳 / 神経生物学 / 中枢神経系 / 湿度温度受容 / 匂い受容 / 昆虫 / ワモンゴキブリ / ミツバチ |
研究概要 |
我々は従来から昆虫の個体の生存にとって、湿度と温度の情報は食物に関する情報と同様に、生死に係わる重要な情報として位置づけ、昆虫の湿度感覚と温度感覚を中心課題に据えて研究してきた。本年度も細胞内記録・細胞内染色法による実験が中心になった。湿度刺激によって電気的活動が変化する中大脳触角葉のニューロンは大きく分けて局所回路性介在ニューロンと出力性介在ニューロンに分けられる。これら2種に大別したそれぞれの介在ニューロンの応答の遅延時間を調べてみると、前者の場合にも遅延時間が長い場合があり、局所回路介在ニューロン間でも情報交換され、かなりの情報処理が行われていることが示唆された。しかしながら、局所回路介在ニューロン相互間での情報伝達があることは示唆されたが、局所回路介在ニューロンから出力介在ニューロンに一方向にのみ情報伝達されるとする従来の仮説を検証するのに十分なデータは得られなかった。触角葉には糸球体と呼ばれるたくさんの球状の構造があり、受容器の軸索はここで上に述べた介在ニューロンとシナプス連絡をする。雄成虫の場合、通常の糸球体(ordinary glomerulus)の外に大糸球体複合体と呼ばれる大型の糸球体がある。触角上の受容器の軸索がそれぞれどの糸球体に終末するかは、フェロモン受容器の軸索が大糸球体複合体に終末すること以外に確かなデータがなかった。我々は湿度・温度受容器・ヘキサン酸受容器の軸索を電気泳動的にヘキサミン・コバルト等で染色し、中大脳内での軸索走行を調べた。その結果、湿度・温度・ヘキサン酸各受容器の軸索はそれぞれ別々の、しかも特定の一般糸球体に終末していることが明らかになった。中大脳ではフェロモン情報の場合だけでなく、触角上の受容器からの一般的な感覚情報においても、各糸球体はそれぞれの異なる種類の情報を処理しており、中大脳はこれらの情報の並行処理システムであることが示唆された。
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