ハムスターの日内休眠:環境要因の影響及びメラトニンによる調節機構

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03640629
• 研究機関: 奈良女子大学
• 研究代表者: 大石 正 奈良女子大学, 理学部, 教授 (30112098)
• キーワード: ジャングリアンハムスター / 日内休眠 / 体重 / 摂食量 / 活動リズム / テストステロン / メラトニン / 甲状腺ホルモン

研究概要

自然条件下での日内休眠を観察すると同時に、体重の変化および生殖腺その他の臓器重量を測定するために、ハムスターを屋外のベランダにおいた。春と夏のデータをとり、プラズマ中のホルモン量(テストステロン、甲状腺ホルモン)の測定およびホルモンレセプターの測定を行った。恒温室内における実験として、体重に対するテストステロン、メラトニン、甲状腺ホルモン(T3,T4)の影響をみた。雄のハムスターを短日条件(8時間明16時間暗)に25週間おき、体重が最低になるようにした。このハムスターを次の8つのグループに分けた。(1)長日コントロール、(2)短日コントロール、(3)去勢、(4)去勢+テストステロン投与、(5)去勢+テストステロンとメラトニン投与、(6)溶媒投与、(7)チロキシン投与、(8)T3投与。短日コントロール以外は長日(16時間明8時間暗)に移した。その結果、去勢グループにおいては、摂食量の増大にもかからわず体重の増加は見られなかった。テストステロンを投与したグループにおいては、体重の顕著な増加が見られた。従って、テストステロンはハムスターのエネルギー消費を抑えているものと思われる。メラトニンはテストステロンを投与したグループの体重の増加を抑えたので、おそらく、メラトニンは、生殖腺の系とは独立に、多分摂食を抑えることによって、体重の増加を抑えたものと思われる。甲状腺ホルモンの投与は摂食量をやや増加させたが、体重の変化は見られなかった。血中のホルモンに関しては、ラジオイム/アッセイにより測定し、生殖腺ホルモンは第二次性徴と平行関係を示すこと、T3は冬高い値を示すことを確認した。以上、生殖腺ホルモン、甲状腺ホルモン、メラトニンの体重に対する影響、および血中ホルモン量の変動に関していくつかの知見が得られた。

研究成果

• [文献書誌] Yokota,T.and Oishi,T.: "Seasonal change in the locomotor activity rhythm of the medaka,Oryzias latipes." Jnteratianal Journal of Biometeorology. 36. 39-44 (1992)
• [文献書誌] Kawata,A.,Oishi,T.,Fukada,Y.,Schichiki,S and Yoshizawa,T.: "Photoreceptor ccll tyrcs in the retina of varion vertebrats species,Imramocytochemiclly nith antibodies against rhodspsin and iodopsin." Phatochnistry and Phstobiology. 56. 1157-1166 (1992)
• [文献書誌] 大石 正: "近視の動物モデル" 医学のあゆみ. 164. 591-593 (1993)
• [文献書誌] Oishi,T.and Obara,Y.: "Formaguararnire-induced blindness and photo periodic responses in the Japanese fnail,Coturriy cotunis joyomca" Journal of Biosciences. in press.
• [文献書誌] Masuda,A.and Oishi,T.: "Rolc of gonads,gonadal hormones,melatoni and thyoid hormones on body wcight and ford intnlse in th Djunyniom hamsta,Phntopus smyorns" Endocrinalsgy.
• [文献書誌] Masuda,A.and Oishi,T.: "The inflncnce of nstricted fecding or plutopcnidindacnl body wajht chaye in the Djngain hamrtr" Journal of Eopeninstal Zodgy.