ハムスターの日内休眠:環境要因の影響及びメラトニンによる調節機構

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03640629
• 研究機関: 奈良女子大学
• 研究代表者: 大石 正 奈良女子大学, 理学部, 教授 (30112098)
• 研究分担者: 益田 敦子 奈良女子大学, 理学部, 非常勤講師
• キーワード: ジャンガリアンハムスター / 日内休眠 / 体重 / 摂食量 / 活動リズム / テストステロン / メラトニン / 甲状腺ホルモン

研究概要

ジャンガリアンハムスターは、冬期に日内休眠を示す。そして、体重、摂食量などの年周変化と密接な関係をもち、光周期、温度などの環境要因に影響される。そこで、まず第一に準自然環境における種々の生理的パラメーターの変化を調べるために、ハムスターを屋外のベランダにおいた。この結果を「屋外飼育におけるジャンガリアンハムスターの年周期性としてまとめた」。次にこの年周期性において、光周期と温度がどのように関与しているかについて、解析した。体重、摂食量、食物貯蔵、被毛の色の年周期性において、光と温度がどのような役割を果しているかについては、すでに解析しているので、ここでは、さらに、詳しく体成分に対する影響について調べた。その結果を「ジャンガリアンハムスターの体成分に及ぼす光周期と温度の影響」および「長日および短日飼育下におけるジャンガリアンハムスターの活動リズム」にまとめた。また、体重の変化と摂食量との関係を明確にするために、制限給餌により調べた。その結果は「制限給餌による体重変化の要因解析」にまとめた。また、生殖腺ホルモンメラトニンの投与がどのような影響を示すかを検討し、「体重および摂食量の変化に及ぼす生殖腺ホルモンメラトニン、甲状腺ホルモンの影響」にまとめた。日内休眠についてのデータは、あまり取れなかったが、日内休眠の研究の基礎となる生理的パラメーターについてのデータが得られた。今後、これらをもとに日内休眠のメカニズムを追求していく。

研究成果

• [文献書誌] Kofuji,H.,Kanda,M.& Oishi,T.: "Breeding cycles and fecal gonadal steroids in the brown dipper,cinclus pallasii" Gen.Comp.Endocrinol.91. 216-223 (1993)
• [文献書誌] Oishi,T.and Ohashi,K.: "Effects of wavelengths of light on the photoperiodic gonadal response of blinded-pinealectomized Japanese quail." Zool.Sci.10. 757-762 (1993)
• [文献書誌] Masuda,H.,Oishi,T.et al.: "Visual pigments in the pineal complex of the Japanese quail,Japanese grass lizard and bullfrog:Immunocytocheimity and HPLC analysis" Tissue Cell. 26. 101-113 (1994)
• [文献書誌] Naruse,M & Oishi,T.: "Effects of light and food as zeitgebers on locomotion activity rhythms in the loach,Misgurnus anguillicaudatus." Zool Sci.11. 113-119 (1994)
• [文献書誌] 大石正: "近視の動物モデル" 医学のあゆみ. 164. 591-593 (1993)
• [文献書誌] Masuda,A.& Oishi,T.: "Effects of restricted feeding on the light-induced body weight charge in hamsters" Physiol.Behav.(発表予定).
• [文献書誌] 黒岩常祥.長田敏行.鈴木孝仁.岡田.大石正.田端.長田: "新編生物IR" 数研出版, 200 (1994)
• [文献書誌] 佐藤令子.利島保.大石正.井深信男: "光と人間の生活ハンドブック" 朝倉書店 (in press),