• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1992 年度 実績報告書

縁海における堆積サイクル形成機構の解明と古海洋学への応用

研究課題

研究課題/領域番号 03640638
研究機関東京大学

研究代表者

多田 隆治  東京大学, 理学部, 助教授 (30143366)

キーワードJapan Sea(日本海) / Miocene(中新世) / Pliocene(鮮新世) / Pleistocene(更新世) / Milankovitch Cycle(ミランコビッチサイクル) / Biogenic silica(生物源シリカ) / Loess(黄砂)
研究概要

前年度から持ち越した課題である珪藻質堆積物からの砕屑粒子の分離抽出法は、今年度やっと確立した。その詳細は、成果報告書に記載する。この抽出法を用いて、青森県鰺ケ沢地域の上部中新統から下部鮮新統の珪藻質泥岩中の生物源シリカ及び砕屑粒子を分離し、生物源シリカの量、砕屑粒子の粒度、鉱物、化学組成を詳しく調べ、以下の様な結果を得た。(1)生物源シリカの含有量は、周期的変動傾向を示し、その周期は3〜5Maでは約4万年であるのに5Ma以前では10万年周期が卓越する。(2)生物源シリカ含有量の変化と連動して砕屑粒子の粒度、鉱物、化学組成にも周期的な変化が認められる。(3)生物源シリカ含有量と砕屑粒子組成の変動の位相関係も5Maを境に逆転する。
砕屑粒子の粒度や鉱物、化学組成は、風化作用を通じて陸上の気候を反映していると考えられる。一方、生物源シリカの量や組成は、海洋環境、特に日本海の場合は海洋循環を反映していると考えられる。これらの変動周期や位相関係が5Maを境に変化した事が、日本周辺にのみ認められる局地的現象なのか、それとも汎世界的な現象なのかは、今後更に検討を要する問題である。しかし、1〜5Maにかけては、海洋の酸素同位体比が4万年周期で変動し、一方、14〜15Maにかけては10万年周期が認められる事を考えると、汎世界的な現象である可能性が高い。
本年度はまた、ODP797地点の第四紀試料170個について、化学組成の分析を行った。その結果、この地点の第四紀堆積物中の砕屑粒子の0〜50%が黄砂起源の粒子であると考えられ、黄砂起源粒子の貴与は氷期に高く、間氷期に低い事が明らかになった。予察的結果によれば、黄砂起源粒子の流入は、約2.5Ma以降顕著になっている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Tada Ryuji: "Origin of rhythmical bedding in Middle Miocene siliceous rocks of the Onnagawa Formation,northern Japan" Journal of Sedimentary Petrology. 61. 1123-1145 (1991)

  • [文献書誌] 多田 隆治: "ODP Leg127の成果と今後の研究の展望" 月刊地球. 号外. 233-237 (1992)

  • [文献書誌] 多田 隆治: "新生代における地球表層環境変化と日本海" 地質学論集.

  • [文献書誌] Tada Ryuji: "Paleoceanographic evolution of the Japan sea" Palaeogeography,Palaeoclimatology,Palaeoecology.

  • [文献書誌] 多田 隆治: "日本海第四紀堆積物中に見られる堆積リズムとミランコビッチサイクル In:安成哲三・柏谷健二(編)ミランコビッチサイクルと地球環境変動" 古今書院, 174 (1992)

URL: 

公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi