研究概要 |
砂質堆積物の性質の最も基本的な特性は,それが水や空気などの流体で運搬・沈積する限りにおいては,粒度組成であることは言をまたない。しかし,原物質が移動して,集積される過程においては,結果として形成される砂質堆積物の粒度組成は原物質の性質,つまり,原物質の粒度組成に大きく支配される。もっとも簡単な場合は,原物質における粒度組成に顕著な“silt"decifiencyの認められる場合である。また,数種類の原物質が想定される場合は混合過程が一番問題になる。本研究においては本年度,次の2点に焦点を絞って検討を行った。 (1)シルト砂質粒の磨滅が効果的に行われるか否かの問題:ー砂質堆積物中の全粒径の砂質粒子のうち,シルト質砂粒はその円磨度が極端に悪いこと,また,そのような性質は形成環境にほとんど関係がないこと,などを未固結ならびに固結した堆積物について確認した。例外は,乾燥気候下における大陸地域の砂漠の砂質堆積物である(湿潤気候下の海岸砂丘などはこの条件には入らない)。この事実は,シルト質砂粒の起源にも関係することで,さらに今後の検討を必要とする。(2)混合過程における変動の問題:ー堆積物の形成には,混合過程は必ず付きまとう。それを最も理解し易く表現できるのは,一次線型モデルであり,そのための計算プログラムをを作成した。従来,確率紙にプロットした結果から推定された混合相の存在は,解釈としては妥当性が全くないことが明らかになった。
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