研究概要 |
平成3年度はコンピュ-タモデリングシステム[MAT98]の改良と地化学分析(ステランエピメリ化,メチルフェナントレン,ビトリナイト反射率)を中心に研究を進めた。その成果の一部は,1991年度石油技術協会(千葉市),1991年度日本地球化学会(松山市)において表発した。また,黒海(ブリガリア)堆積盆地を例として実施した熱流量史評価補正法の研究成果は同国の学会誌に投稿中である。 本年度の研究成果の中で,ステランのエピメリ化の反応速度論的条件をMITI新潟平野(抗井名)の岩石試料をもとに決定できた点は特筆に価する。ここで得られた,活性化エネルギ-(95KJ/mol)と前指数因子(0.21S^<-1>)は,Alexander et al.(1986,Org,Geochem.)による,84KJ/mol,0.0066S^<-1>と比較的一致しており,自然界の堆積盆地で適用できる反応速度論的な条件をほぼ決定したものと言える。さらに,この研究で実施した決定方法では,堆積盆地モデリングシステム[MAT98]を使用しており,地層の庄密や熱伝導率の変化などをはじめて考慮した。このようにして求められた例は過去になく,世界ではじめての成果である。この研究成果は現在,投稿準備中である。 また,設備備品として設置した,ガスクロマトグラフにより,芳香族指標のメチルフェナントレンを分析する方法を確立させることができた。MITI高田平野について検討した結果はGeochemical Journal誌に投稿準備中である。
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