研究概要 |
1)緑色岩類の希土類元素定量:秋吉台緑色岩類,高知県中津明神の緑色岩類について,京都大学の研究用原子炉を用いた中性子放射化分析法により,希土類元素の定量を行った.秋吉台のアルカリ岩はCe;44〜81ppm,La;13〜34ppmで帝釈台のアルカリ岩のように100ppm以上のCeを含むものはない.コンドライト規格化した図では、REE含有量の多い試料ほど、スムースな右さがりのパターンを示し.REE量の少ないものでは,わずかにEu異常が認められる.四国カルストの緑色岩類はREE含有量が低いばかりでなく,La/Ceにも二つのタイプが認められ,Eu異常も明瞭である.中津明神の緑色岩類では,Ceに比べ,La濃度が著しく低いものと,そうでないものが区別される.以上のように,石灰岩台地の基盤をなす緑色岩類のREE含有量の差は,La,Ceなど,LREE量の差によっている. 2)中央構造線にそった中新世酸性火山岩のK-Ar年代とその起源:四国北西部の石鎚層群の酸性火山岩類について,そのK-Ar年代とSr同位体比を測定し,その起源について検討した.中央構造線にそう,明神山型酸性火山岩のK-Arは13.9〜14.3Maで平均値は14.1Maである.石鎚コールドロンの天狗岳火砕流は分離した斜長石から15.4Maが得られた.同地域の酸性火山岩はSr同位体比から,14MaのSr Initial(SrI)が1);0.7056〜0.7057の五色台型,2);0.7067〜0.7070の明神山型,3);0.7097〜0.7099の太山寺型に区分される.1)は南海トラフのaccretional prismと似た構成の堆積物からなる沈み込み体の部分溶融,2)はper-aluminousな外帯花崗岩類の噴出相,3)はSrIの高い四万十帯の泥質ホルンフェルスの部分溶融,がそれぞれの起源として考えられる.
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