研究概要 |
平成4年度には,西南日本内帯の美濃帯から採取したマンガン炭酸塩ノジュール中のきわめて保存の良い放散虫化石と,平成3年度に構築した画像処理システムを用い化石放散虫の画像データの取り込み・処理・データベース作成などを行った.平成4年度の研究では,時間不足のため,本研究の主目的であった化石放散虫の画像処理による系統進化には大きな成果あげるにはいたらなかったが,微化石の画像処理について,次のような問題点がうきぼりになった。 1.微化石は,その個体数,種類が大型化石にくらべ,非常に多いので,画像データを蓄積するのに膨大な記憶媒体が必要となる.本研究では,パーソナルコンピューターとLANで結ばれた名古屋大学大型計算機センターの共用ファイルを記憶媒体として考えていたが,画像データの処理にマッキントッシュパーソナルコンピューターを用いたため,フォーマットなどの問題があり,使いやすいシステムとはならなかった. 2.画像データのうち数値化できるもの(例えば,殻の直径,スパインの直径や長さ)については,統計的処理になじみやすいが,数値化の難しい要素(例えば,殻上のポア,コスタ,リッジの形態や配列)は,数値化するよりは,コンピュータースクリーン上に同時に表示し,人間の目で比較した方が,その特徴をとらえやすい. また,本システムを使って,環太平洋造山帯(ロシア極東地域),アルプスーヒマラヤ造山帯(パキスタン),および両者の接点であるインドネシア地域の放散虫生層序学的研究を行った.得られた成果は裏面の雑誌論文を参照されたい.
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