研究概要 |
本研究の成果を、行った順に以下に記す。圧力測定は全ての実験に不可欠で、またその精度は実験結果に重大な影響を与えるので、ルビーケイ光測定装置の製作を最初に行った。次に、Fluorite,CaF_2を試料として放射光による超強力X線と四軸自動回折計を用いて、ダイヤモンドアンビルを用いた高圧下単結晶X線法による研究を行った。Fluorite,CaF_2の低圧相の結晶構造では原子が全て特殊位置にあるため、原子座標は固定されており、圧力によって変化しない。このため、高圧下で測定したX線回折強度の測定精度を知ることができる。本研究では、7GPaの圧力下で理論値と実測値はR=3.3%で一致し、放射光を用いたダイヤモンドアンビルによる高圧下単結晶X線法による測定が充分な精度を有することが示された。また、ダイヤモンドアンビル高圧セルさらに9.0GPaまで加圧し放射光による超強力X線と四軸自動回折計で8-8.5GPaの相転移を確認した。上部マントルの主要構成鉱物である輝石について、その結晶構造におよぼす圧力の影響は詳しく調べられていなかったが、本研究ではHedenbergite,CaFeSi_2O_6について6.3GPaまで高圧下単結晶X線法により調べ、結晶構造におよぼす圧力の影響とMgとFeの置換の関係を調べた。Ringwood & Major(1967)によって見いだされた、地球の上部マントルの深さ400km-670kmの温度圧力範囲に安定領域をもつ含水高圧珪酸塩鉱物のうち、これまでに結晶構造が決定され相が確定しているのはphase A、phase B、phase Eのみであった。本研究では新たに見いだされたsuperhydrous phase Bとphase Fについてその結晶構造を決定し、さらに高圧下での解析により結晶構造におよぼす圧力の影響、体積弾性率等を求めた。
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