研究概要 |
日本海の大和海山,明洋海山,明洋第二海山付近よりドレッジされた玄武質安山岩の7試料と,欝陵島と竹島(独島)とのアルカリ火山岩のそれぞれ6試料について,SrーNdーPb同位体組成が決定された.大和海山列の試料の ^<87>Sr/ ^<86>Sr比は0.7035ー0.7038とほぼ一様であるが,欝陵島と独島の ^<87>Sr/ ^<86>Srは0.7045ー0.7060と高く,この両者には組成上のギャプがある. ^<143>Nd/ ^<144>Ndでは,大和海山列は0.51288ー0.51299で,欝陵島と独島では0.51250ー0.51260で,組成上の差異は同様に明瞭である.Pb同位体組成では,大和海山列の ^<206>Pb/ ^<204>Pbは17.8ー18.2, ^<207>Pb/ ^<204>Pbは15.4ー15.5, ^<208>Pb/ ^<204>Pbは37.6ー38.0となっている.これらは欝陵島と独島では,それぞれ17.9ー18.1,15.5ー15.6,38.1ー38.8である.したがって,Pb同位体組成範囲は両者とも大きくないが,欝陵島と独島の ^<208>Pb/ ^<204>Pbは大和海山列に比べかなり高めである. 大和海山列試料を海嶺玄武岩と比較してみると, ^<87>Sr/ ^<86>Srは高く, ^<143>Nd/ ^<144>Ndが低いため,NdーSr同位体組成図上のマントル列で,海嶺玄武岩よりはバルクア-ス領域よりに点示される.しかしPb同位体比の範囲が狭いわりにSr同位体比の範囲が広くかつ高いことから,形成に係わったマグマソ-スは海嶺玄武岩マグマを生じるような典型的なデプリ-テドマントルのみでは説明できず, ^εSrがゼロないし正で ^εNdがゼロないし負のコンポ-ネント(大陸地殻物質など)の寄与が示唆される.欝陵島と独島のPb同位体組成はU/PbとTh/Uが日本列島火山岩のそれよりは明瞭に高かった起源物成質を示唆する.
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