大陸周縁地域の典型としての日本海大和海山列でのドレッジ火山岩試料と日本海の火山島である欝陵島と竹島の試料について、Pb-Nd-Sr系同位体組成を決定した。大和海山列試料の同位体組成を海嶺玄武岩と比較すると^<87>Sr/^<86>Sr比は高く、^<143>Nd ^<144N>d比は低い。Nd-Sr同位体ダイアグラムでは、大和海山列試料はマントル列上で典型的な海嶺玄武岩よりはバルクアースよりの領域に点示され、東北日本や伊豆マリアナ弧第四紀火山岩のNd-Sr同位体組成に近い。欝陵島と独島の試料のNd-Sr同位体組成は西南日本火山岩のもつ特徴にやや近いが、マントル列上で西南日本のものよりは右下を占め(^<87>Sr/^<86>Sr=〜0.705・εNd-=-3〜-5)、バルクアース付近に点示される。大和海山列の試料は放射性起源Pbが少なめで、海嶺玄武岩の組成にやや近い。欝陵島と独島の試料は^<206>Pb^<204>Pb比に比べて^<204>Pb比に比べて^<208>Pb/^<204>Pb比がかなり高めで、西南日本の火山岩の特徴に近いが、^<208>Pb/^<204>Pb比は明かに高く、そのΔ^<208>/^<204>Pb値は143に達し、典型的なデューパル異常を示す(あるいはEMIコムポーネントをもつ)。こうした欝陵島と独島を含むユーラシア大陸東縁地域でみられるEMIコムポーネントの成因は、プレートの沈み込み物質に由来する流体、ないし沈み込み過程そのものに起因するメタゾマティズムにより比較的浅所でTh濃集があったとすれば説明し易い。すなわち、ユーラシア大陸東緑地域ではマントルリソスフェアがメタゾマティズムによって高いTh/U比とインコムパチブル元素にやや富む組成となり、長い時間の経過後に(少なくとも1Ga以上)、EMIコムポーネントを獲得したと結論される。このことはマントルリサイクル過程のプレートサブダクションは主要な不均一マントルドメインであるEMIコンポーネントの原因となっていることを示す。
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