研究概要 |
本年度は,最高で4kbまで圧力の発生する熱水合成装置を購入し,変成マンガン鉄鉱床から産出する変成鉱物を合成する予定であった.熱水合成装置の導入については本科学研究費が認められてから直ちに準備を行ったが製作過程でいくつかの設計変更・材料の変更を行ったため,装置の導入が1992年1月となった.この設計変更あるいは材料変更は,本実験が1ー2カ月という長期間を要するためにその間安定した高圧状態を維持するために必要であった.たとえばガスケットの形状・材料(UDIMET520)が従来のものではその変形によって4kdの高圧保持が不可能であることは判明したため,形状を変更し,材料を「インコネル625」に変更した.その結果,従来4kdの最高圧力では圧力保持の期間が短かったのが大幅に改善された.また,これまでに温度・圧力のキャリブレ-ション仰行っており,ほぼ満足のいく結果がえられている.以上述べた合成装置の性到に関する基本的実験とともに,Mnを含むパンペリ-石の組成となるように特級試薬を調整した出発物質をつくり,実験の準備が完了している.本研究で合成した試料は化学分析をはじめとしてさまざまな分光学的手法を用いて解析するが,本研究では特にメスバウア-分光学あるいは可視分光学を手法を用いる.そのためにスペクトル解析を行うが,今年度はそのための解析プログラムを行い,公表した.また,実験条件を決定するために,これまで研究してきた北海道常呂帯に加えて,山上変成岩について紅簾石および共生鉱物について詳細に検討し,現在公表準備中(「岩鉱」に投稿予定)である.
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