1.1991年8月におこなった鹿児島県屋久島西部海岸における野生ニホンザル個体群の調査により、1989年に融合した群れのメンバ-シップに変化がないことを明らかにした。この結果に基づいて、ニホンザルのメス間の競争と共存のバランスについて論文を作成して、現在投稿中である。 2.1973年より継続されている屋久島のニホンザル個体群の人口動態を分析して、環境が著しい変化を示なくとも、それぞれの群れのサイズは大きく変化すること、同時に遊動域の大きさ、群れの優劣関係なども変化することを明らかにした。同時に、群れの内部ではメスの順位と繁殖成分が必ずしも相関しないことも明らかにされた。これらの結果を共同研究者とともにまとめて、現在印刷中である。 3.嵐山餌付群のニホンザルの繁殖デ-タを共同研究者と分析した結果、メスの生涯繁殖率の変化をまとめて、20〜25歳で出産を終えたのちも、かなり長期間生残する個体がいることを明らかにした。これは人間にのみ認められていると思われていた「閉経」がニホンザルにも存在している可能性を示唆するものとして注目される。その他、メスの順位と出産率、幼児死亡率、出生性比等がほとんど相関しないことを明らかにした。これらの結果を論文にまとめて、現在印刷中である。 4.人数のインセスト・タブ-の起源をめぐる論争を総括して、霊長類に認められる近親交配の回避と人類の近親婚禁忌の関係を論じた。結果は現在印刷中である。
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