研究概要 |
GaAsなどのIIIーV族化合物半導体のpn接合中に希土類を添加したキャリア注入型半導体素子を得ることを目的として、縦型LPE法でGaAs:Yb結晶(Yb,YbI_3,YbF_3,YbP)を製作し、発光スペクトル(PL,EL)キャリア濃度,濃度分布,及び活性化エネルギ-などを測定し発光機構を検討した結果、以下の知見を得た。 1.LPE法でXb^<3+>の発光を得るためには、現在までに入手したYbメタルはド-パントとして不適切であり、Ybハロイド化合物(YbF_3,YbI_3)やYbPなどの形態で添加する必要がある。 2.発光スペクトルは、ド-パントの添加量に依在し、多量に添加すると濃度消光を起こす。したがって輝度を高めるためには適量を添加する必要がある。 3.Yb^<3+>の励起・発光機構を解明するには、Ybに関した活性化エネルギ-を測定する必要があるが、GaAs:Yb結晶に含まれると考えられる不純物(C,Mgなど)による発光と重なって測定が困難である。 4.Gaas:Yb系では、Ybメタルだけを添加した場合には発光が観測されなかったが,Yb化合物で添加するとブロ-ドな発光が観測されたのは複数の複合体が形成され、そのうちいくつかがYb^<3+>の発光を示したものと考えている。 5.基板の種類、成長圏の厚さにより、Yb^<3+>の発光の有無は影響される。 6.GaAs:Yb結晶で作製した発光ダイオ-ド(LED)は、主としてキャリア注入型発光を示した。これらの発光は浅いアクセプタ不純物からのエネルギ-伝達で起きていると考えられる。 現在は、高輝度を実現させるために、母体材料や製作方法を変えて縦型LPEで製作した試料との比較検討を進めている。又、適切な希土類化合物や高純度化した希土類を用いると共にイオンインプランテ-ションなどの不純物制御技術を利用して、PLやELの発光特性を高め、母体の欠陥との関連も調べる計画である。
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