研究概要 |
本研究は、シリカ系ガラスにおける二つに分離した価電子帯間の正孔の遷移の際に生ずる可視から紫外線領域にわたる広い発光、一種のオージェフリー発光を利用した光増巾効果、可視・紫外域波長可変レーザーの開発を目的としたものである。今年度は、以下に述べるような成果を得ることができた。 シリカガラスに、価電子帯の少し上にアクセプタ準位を形成し、しかも、不用な光吸収の原因を生じさせないドーパントとして、Na,Pb,TiB、などを検討してきたが、いずれも、適していないことが明らかになった。しかしながら、Feをドープすることで、極めてよいアクセプタが形成されることが明らかになった。Feをドープしたガラスにおいて、1cmあたり300%の光増巾が、1mWのアルゴンレーザー光の励起において生ずることが明らかになった。これは、かなり高出力のレーザーを実現する可能性を示す結果である。 上述の光増巾効果は、入射アルゴンレーザーの光パワーに反比例することが明らかとなり、エキシマレーザーによって励起されたホールが、ほとんど全てが、アルゴンレーザー光の光によって、誘導放出を受けていることが明らかになった。従って、レーザーの効果を考える場合、励起されたホールは効率よく光となるので、あとは、励起光が、ホールの励起以外に使われないように、光吸収の原因をさらに下げることが、重要であることが明らかとなった。
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