研究概要 |
光波の多重干渉を利用することにより,光変調器の変調効率を飛躍的に向上させるとともに,光変調器に新たな機能を付与することを目的として研究を行った.まず,新たに考案したGT形変調器を設計・試作し,その動作を実験的に確認した.GT形変調器は,全反射ミラ-と部分透過ミラ-で構成されるGT干渉計(GiresーTournois干渉計)の内部に光位相変調器を組み込んだもので,光共振周波数に同期して内部で位相変調することにより,全体として高周波高効率位相変調を達成しようというものである.電気光学結晶にLiTaO_3を用いて,動作周波数2.5GHzの位相変調器を試作し,動作実験を行った.光源にアルゴンレ-ザを用い,変調サイドバンドは掃引形FP干渉計で測定した.その結果,理論的に予想されるとおり,変調器単体の場合の20倍から50倍の位相変調指数がマイクロ波領域で得られることが実験により確認できた.良好な動作をさせるには,干渉計を構成する鏡の損失を極力小さくすることと,光共振器のモ-ドマッチングを十分に行うことが,非常に重要であることが明かとなった.また,GT変調器は出力での位相変調度がπを越えるようになると,指数関数的に非常に大きく広がったサイドバンドが生成されることも確認した.ただしこのとき,キャリア成分がかなり大きく残留した. 次に,光共振器構成法について検討を進め,変形GT変調器を提案した.これはGT変調器の入射ミラ-をFPフィルタに交換し,入射光は干渉計内に進入することができるが生成されたサイドバンドは光共振器内に閉じ込められるものである。入力周波数から非常に離れたところに,大きな周波数成分を生成することができる.基礎的な実験を行い,動作を確認することができた. これらの変調器は特異な群速度分散性を有しており,パルス生成等さまざまな応用が期待できる.
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