研究概要 |
本年度は共振器の異方性の小さい内部鏡型633nmHeNe横ゼーマンレーザの特性において,27ガウスから90ガウスに磁界強度を変化させた時,印加磁界方向を基準として50°〜130°の範囲で偏光面が回転する特異な現象に着目した。そしてこの現象を解明するため,次のようなモデルを提案した。この現象はσモードとπモードの同時発振状態において、σモードとπモードの結合が強いため周波数ロッキングが生じ,その結果σモードの電界振幅とπモードの電界振幅の比によって定まる角度で偏光面が決定される。これに従って理論を提案し,詳細なシミュレーションを行なった結果,上述のモデルの妥当性が明らかとなった。 次に異方性の小さいレーザ管と異方性が比較的大きなレーザ管を用い,外部共振器による反射光の注入同期による偏光面のスイッチング特性について詳細な実験を行なった。その結果異方性の小さなレーザでは,レーザ管の自然軸に依存せず,偏光特性が外部共振器の異方性に依存して偏光面のスイッチングの生ずることが明らかとなった。一方異方性が比較的大きいレーザ管では,逆に外部共振器の偏光異方性に依存せず、レーザ管の自然軸方向とその垂直方向に偏光スイッチングが生じることを明らかにした。さらに共振器の異方性の小さいレーザを横ゼーマンレーザとして動作させ,反射光による注入効果を調べた結果,この偏光スイッチング特性に上述の横ゼーマンレーザの偏光特性が反映していることが明らかとなった。 最後に注入レーザ光としてマスターレーザを利用する場合,周波数を較正する必要がある。このレーザとして2モード安定化レーザの周波数基準となるヨウ素分子吸収スペクトルを,リング共振器を用いて飽和分光法およびFMサイドバンド分光法により高感度に検出した。
|