本研究では、風胴において回転放物体まわりの速度分布を測定し剥離渦の構造や領域による非定常変動分布を考察する一方、水槽においては回転楕円体背中側に発生する渦の可視化を行い、渦構造等を解明することを目的とした。 1.いくつかの実験から迎角40°以上では後部の表面付近の流れは2次元概念でほぼ説明できることが確認された。まず放物形状物体では油膜法による剥離線と物体表面静圧:Cpが比較され、先端以外の後部ではCpの極値をつらねるとほぼ剥離線と一致した。第2に迎角40度、Re=2.7×10^4での速度のパワースペクトルには約19Hzの強いスペクトルがみられた。これは円柱を想定したストローハル数による周波数15Hzに近く、この迎角でも円柱の渦放出と同様の状態の存在を推測させる。第3に3次元特有の剥離線OPEN部近辺のみは速度ベクトルが剥離線に接線的に合流する。しかしすぐ下流からその交差角がゼロといえない部分が多くなっている。迎角大でCLOSED剥離に至ると速度ベクトルは剥離線のほとんどの部分で2次元剥離と同様、ほぼ直交している。 2.改良W型プローブによる測定:速度ベクトルの向きを瞬時的に精度よく測定できるこのプローブにより横断面の速度場が計測できた。その結果つぎの構造が確認できた。横断流れ成分が順流と逆流が交互に入れ替わり非定常性が大きいのはθ=135°を中心とした±10°の領域で、この構造が逆流速度場からも確認できた。RE=8000の水槽実験では縦渦の可視化から渦の軸の振動は数Hz以下でありα=20°程度ではその振動はなくなる事を確認した。 3.楕円体だけでなく放物体でも共通に次が指摘できる。物体表面付近の可視化では2次剥離線の後ろ端近くから先端方向に向かってから腹側へ回り込み主剥離線に接する時計周りの渦パターンがα=50°程度までは見られた。 以上のことが確認された。
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