研究概要 |
平成4年度においては、前年度に行った亜音速気流中の水素壁面噴射ジェットの着火・火炎安定化に対するプラズマジェットの効果に関する研究に引き続き、超音速気流中における同問題について検討した。実験は高圧タンクからのブローダウン方式により得られる超音速気流を用いて行ったが、テストセクションにおける静圧はほぼ1atm、気流速度はM=1.0及び1.5とした。 主要パラメタの相互関係については次の結果が得られた。超音速気流の場合には、剥離衝撃波、再付着衝撃波などの各種斜め衝撃波の発生がみられるが、このような状況下においても、プラズマジェット作動ガスの種類(Ar,N_2,Ar+H_2,Ar+O_2)、燃料噴射とプラズマジェット注入の相対的位置、壁面ステップの有無が着火・火炎安定化に及ぼす影響は、亜音速気流の場合と定性的には同一であることが認められた。また国内外で行われている、超音速気流中へ横噴射した場合の火炎安定化において観察されるAr+H_2を作動ガスとするプラズマジェットの特異な保炎効果については、Arを作動ガスとしたプラズマジェットの低電力における安定性、また着火における最低必要ラジカル量の考えにより説明できることも示された。 プラズマジェットの着火の、亜音速気流中と超音速気流中の相異点として次のことが明かとなった。すなわち比較的小電力でよい前者においては、プラズマジェットに含まれる活性種の化学的効果が着火に主たる役割をはたすが、後者においてはプラズマジェットの熱的効果もその着火性に影響を及ぼすようになる。
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