研究概要 |
メカニカルアロイイングによってイットリア(Y_2O_3)を分散し,結晶粒を一方向に伸張させた酸化物分散強化超合金Inconel MA754(結晶横断面径約300μm,長手方向径数mm)の高温クリ-プ疲労用試験片(平行部直径10mm)を作成した.実用条件を考慮して,試験片は負荷軸が結晶伸張方向と一致するよう採取した. まず,初期切欠きを有する試験片を用いて1000℃で高温クリ-プ疲労試験を実施し,巨視き裂の成長挙動を観察した.き裂成長は応力軸方向粒界において一時的な停留を示す.また,微視組織の影響によりき裂前縁の各部分ではき裂が不規則に成長していることが破面観察より明らかとなった.一方,試験片板厚が数mmを越える場合には,その不規則性は平均化されてスム-ズな成長挙動を示すことが,電位差法による検討より判明した.平均化されたき裂の成長速度はクリ-プJ積分範囲と良い対応関係を示した. 次に,平滑試験片を用いて高温クリ-プ疲労試験を実施し,微小なき裂の発生・成長挙動を観察した.応力軸垂直粒界には,寿命初期に微小なき裂が多数発生するが,これらは応力軸方向の粒界に成長を阻止されるため大きなき裂とはならなかった.寿命中期以降に応力軸方向粒界に隣接する結晶粒内に多数のき裂が発生し,成長を続けて破損をもたらす主き裂を形成した.ただし,各き裂の発生寿命にはかなら大きなバラツキがあり,き裂成長は応力軸方向の粒界により著しく減速されることが判明した.すなわち,き裂発生・成長には微視組織が強く影響している 微視組織的微小き裂の不規則なき裂伝ぱを数値シミュレ-ションする方法についても検討した.
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