研究概要 |
ニッケル基単結晶超合金CMSX-2を用いて1273Kで引張・圧縮-繰返しねじりの高温多軸低サイクル疲労試験を実施し,単結晶超合金の多軸低サイクル疲労寿命を実験的に検証するとともに,結晶すべり理論を用いて多軸応力下での繰返し構成式についても考察した.得られた主要な結果は以下の通りである. (1)ひずみ基準の高温多軸低サイクル疲労パラメータとして,Mises型の相当ひずみ範囲,最大主ひずみ範囲,最大せん断ひずみ範囲およびき裂開口変位に基づく相当ひずみ範囲Φ=0^0,30^0および90^0での高温サイクル疲労寿命の整理を行った.Φは(γ/(] SY.sproot[)3)/εで表されるせん断ひずみγと垂直ひずみεとの比である.全てのパラメータで単結晶の高温多軸低サイクル疲労寿命を高精度で整理する事が出来なかった. (2)新たなひずみ基準のパラメータとして,弾性定数の異方性を考慮したとき裂開口変位に基づく相当ひずみ範囲を開発した.同パラメータを用いて比較的精度の良い多軸高温低サイクル疲労寿命の整理が可能であった. (3)応力基準のパラメータとして.Mises型の相当応力,最大主応力,最大せん断応力およびき裂開口片に基づく相当応力で多軸低サイクル疲労寿命の整理を行った.Mises型の相当応力およびき裂開口変位に基づく相当応力での高精度な寿命整理が可能であったが,その他の応力パラメータでは整理結果に大きなバラツキが生じた. (4)結晶のすべり理論および弾性定数の異方性を用いて多軸応力下での構成式を開発し,実験結果と照合した.解析結果と実験結果とは良好に一致し,すべり理論と弾性定数の異方性に基づく構成式が有効であることが判明した.
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