研究概要 |
構造部材の破損事故解析に際してフラクトグラフィはル-ティンワ-クとして定着している反面,観察部位・倍率(巨視的,微視的)に決定に始まり,破壊原因の判断に至る一連の手順の多くが経験知識に基づくという特徴を有する.この過程は熟練者の知識と経験に基づき,試行錯誤により実現されている現状にあり,専門知識の共有化が可能なエキスパ-トシステムが要求されている. 本研究では破損事故解析のうちフラクトグラフィに関連するものを対象とし,従来の事故解析例およびフラクトグラフィの知識を上述の観点から見直し,事故解析に必要とされる推論部,知識表現法を明らかにし,熟練技術者の判断を代行し,結論に至るまでの観察回数を極小化し,そのプロセスを決定する対話型エキスパ-トシステムの試作を目標として,以下の成果を得た. (1)システムの概要:解決すべき問題の入力により,観察項目が提示され,観察結果を順次入力すると,システムはその結果を解析し,不必要な観察を回避し,結論に至るために最小限必要な次の観察項目,優先度を指示する.これを繰り返すことにより結論に到達する. (2)システムの開発:システムはパソコン(Macintosh)上で開発し,SmallTalk言語を用い,以下の手順でプロトタイプの開発を行った. 推論エンジンの作成:(1)専門知識管理,(2)推論実行,(3)推論結果提示,の各推論サブシステムを作成した. 知識デ-タベ-ス作成:知識部を(1)フラクトグラフィ用語・ル-ルの説明,(2)ル-ル型知識ベ-ス,(3)観察手法説明,(4)参照用フラクトグラフ,に分けて作成した.
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