研究概要 |
1.多孔体解析特殊境界要素法の検討‥‥最大剛性設計問題を対象に,物体内部に架空の複数の楕円体空孔を点在させたときの変位解析を,無限体中に楕円体空孔が存在する場合の基本解をもとに実施する境界要素法を考察し,基本的な例題への適用を試みた.しかしその結果をもとに実在する空孔の位置や寸法を決定する合理的な基準を見出すまでには至らなかった.今後さらに詳しい検討が必要である. 2.近似最適化問題構成法の検討‥‥2次元および3次元連続体の形状最適化を対象に,直接微分法に基づく設計感度解析法の具体的な定式化を行い,対応するプログラムを作成して基本例題の解析結果からその有効性,精度を確認した.また少数の設計変数で任意形状を表現する具体的方法として空孔形状などの表現に適した三角級数補間法と,より複雑な形状の表現に適したアイソパラメトリック補間法を取上げ,最大剛性設計,最小重量設計問題に適用して有効性を検証した.さらにそれらの成果をもとに,目的関数を設計変数の二次式に,感度解析結果をもとに変位・応力制約条件を設計変数の線形式に近似する近似解法を考案し,基本的な設計例に適用してその効率などについて検討した結果,最適解を得るまでに必要な境界要素解析,設計感度解析回数を大幅に削減できることを確認した. 3.トンネル法による大域的最適解探索法の検討‥‥局所解の存在する制約付き最適化手法として,1つの局所解の位置に関数値が無限大となる極を導入した人為的な修正目的関数から現在の極小値よりさらに値の小さい設計点を探索する方法を考案し,基本的な構造設計例に適用して有効性を確認したが,空孔の設置・消滅により異なったトポロジに自動的に移項させる問題への適用までには至らなかった.今後さらに形態最適化問題への有効性の検討が必要である.
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