本年度の研究は(1)理論解析手法の確立として、(1-1)端き裂を有する傾斜機能平板の非定常熱応力の解析手法の確立と最適組成の決定、(1-2)内部き裂を有する傾斜機能平板の非定常熱応力の解析手法の確立と最適組成の決定。(2)数値解析手法の確立として、(2-1)き裂を有する傾斜機能材料の数値解析プログラムの精度向上、(2-2)最適組成を決定するプログラムの開発。(3)理論解析手法と数値解析手法のハイブリット化の検討である。 成果として、(1)理論解析手法の確立として、内部き裂を有する傾斜機能平板の非定常熱応力の解析手法は物性値がある関数形で与えられる場合について解析することに成功した。その結果、不均質性が強くなると、モードIおよびモードIIの応力拡大係数とも、時間とともに単調増加し、その後一定になる。これは、均質材量の応力拡大係数が時間とともに単調増加し、最大値をとった後単調減少し、その後一定となることと大きく異なっている。また、応力拡大係数は不均質性が強まるほど、早い時点で定常状態になる。一方、端き裂を有する傾斜機能平板の非定常熱応力の解析は現在も研究中である。 (2)数値解析手法の確立として、き裂を有する傾斜機能材料の数値解析プログラムの精度向上のため、応力拡大係数が容易に求まる特異要素によるプログラムの開発中である。(3)理論解析手法と数値解析手法のハイブリット化の検討を行い、有限要素法のみでは冷却に転じた極初期の応力が不正確となるので、そこに理論結果を組み込むことにより、一部ハイブリット化に成功した。 3年間の研究成果は研究成果報告書にまとめた。
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