新しい耐熱性の構造用プラスチックのナイロン46に関して、その疲労き裂進展特性およびその下限界値△Kthの計測とその工学的応用に関する知識を体系的に整理することを試みた。すなわち、下記の二つの点研究目的とした。 (1)疲労き裂進展特性およびその下限界値△Kthの計測を実施する。 (2)前年度および上記(1)の成果に基づいて、本材の工学的応用に関する知識の体系的整理を実施する。 上記の研究目的を達成するために、下記の研究の実績を得た。 (1)疲労き裂進展機構について、走査型電子顕微鏡を用いて、ミクロ機構の解明まで掘り下げて検討を加えた。その結果、カーボン繊維、ガラス繊維などの強化材によって、き裂形状が変化し、それに併って破面の粗さおよびブリッジング効果等の破壊力学的メカニズムの効果が有効であることが理解された。 (2)得られた上記の(1)の研究成果に基づいて、本材を用いた機械要素の疲労設計法についての構築を試みた。これまで耐熱性ナイロン66を使用してきた機械要素に対してナイロン46を使用したときの強度信頼性の向上について検訂した。併せて、ナイロンを用いた機械要素の信頼性について懸念される湿度の影響についても実証的検討を加えた。
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