研究概要 |
本研究では,新たに開発した薄板の摩擦押出し成形法を用いて,傾斜機能材料の自由な設計を効率の良い製造法の確立を目的として行われている。本年度の研究実績をまとめると次のようになる。 1.高強度材料の摩擦押出し成形が可能となるように,成形工具の強度向上のための再設計・製作を行い,鉄系,チタニウム系,銅系材料の摩擦押出し成形にも適用可能になることを確認した。 2.アルミニウムと銅及びチタニウム板の重ね合せ素板から,金属クラッド薄板の成形を試み,十分な接合強度を有する圧接接合が可能になることを明らかにした。 3.新たに購入したV形混合器を用いて,アルミニウムとチタニウム粉末の混合条件について検討し,混合率を種々変更した混合粉末を作製した。 4.上記混合粉末を圧密成形する場合の,金型潤滑条件,圧密面圧と圧密密度の関係を調べた。これにより,最適の圧密条件を確立した。 5.上記圧密成形体を,混合した金属の金属間化合物を生じる温度すなわち燃焼成合が生じるまでの温度範囲において,熱処理を行い,それらの硬さ,圧縮変形特性について調査した。 6.圧密成形したままの成形体を用いて,摩擦押出し形成を試みた結果,混合粉成形体だけでは,工具面への凝着が激しいため,紙アルミニウム粉末層との復合体を作成し,摩擦押出しが可能になることを明らかにした。 7.圧密成形体を空気中でそのまま摩擦押出し成形すると,薄板中にガス等が巻込まれて,熱処理時にブリスタ-(火ぶくれ)を発生するため,真空圧密等の工夫が必要になることが明らかになった。
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