研究概要 |
テーブルやパレット上に置かれた工作物に衝撃力などを加えて,工作物を目的の位置に精密にセッティングする心出し作業の自動化を実現するための基礎研究として,前年度までに,工作物の微小運動挙動特性に基づき摩擦面を平面,工作物を立体弾性体とした3次元モデルを構築し,衝撃力負荷状態での工作物の運動挙動のシミュレーション法を確立した.そして,一般的な形状をもつ工作物に対して,任意の負荷力に対する動的挙動が定量的に求められるシミュレーション法を構築した.次に,実験装置による測定を行い,測定値と計算値の対応を検討した後,摩擦力モデルおよびシミュレーション・モデルを改良した.そして工作物への力の加え方と工作物の移動挙動の間の定量的な関係を明らかにした.さらに,最少の打撃回数で目的の心出しを実現するための,心出し作業最適化のアルゴリズムを構築した.本年度はこれらの成果に基づき,シミュレーションモデルの改良とより広い工作物対象に対して効率よく精密心出しを行うための理論的解析と具体的手順を構築した.そして,自動心出し作業の最適運用の検証を行い、実際への適用手順をまとめた.具体的に得られた研究成果は以下の通りである. 1.摩擦モデルなどの再検討により,モデルの改良を行い,より精度の高いモデルを構築した. 2.種々形状の工作物に対して心出し作業を行う上での理論解析を行い,部品形状の分類に基づく工作物の移動挙動の法則を見いだした. 3.2の成果に基づき,多種形状工作物に対する心出し作業を効率面で最適化するための汎用的手順を示した. 4.実際の生産設備に適用する上での問題点を抽出し,具体的な精密心出しの手順を構築した. 5.研究成果を整理して,今後の展望をまとめた.
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