研究概要 |
本研究は,市場ニーズの変化に適切に対応するために,フレキシブル生産における設計や生産に関わる意思決定の構造を分析し,CIM(コンピュータ統合生産)に適合する分散協調型の意思決定支援システムの概念と具体的方法を提案するものである。 平成4年度は,まず,前年度に実施した分散型意思決定支援システムの概念設計を基礎として,そこで提案された意思決定モジュールの詳細検討と具体化のためのアルゴリズムの作成を行った。とくに,(1)需要変動に対応して,生産計画と連動する生産設備更新計画に関する意思決定の詳細化,(2)生産設備計画,生産ライン構成,工具配分の各意思決定モジュールについてのアルゴリズムの整備とプロトタイプの作成を行った。 さらに今年度は,CIMにおける設計・生産活動の分散・並行処理を可能とするための意思決定機構の分析と,それを実現するアルゴリズムの開発を行った。すなわち,(1)設計・生産活動において処理すべき作業群を適切な作業グループに分割し,各作業グループに対応した作業者グループを構成する考え方,および設計・生産活動の進行にともなって,適正規模の作業グループを動的に構成する方法の提案,(2)製品モデルを創成するモデリング・アクティビティと,そのモデリング作業の進行に応じて並列的に処理される統合化アクティビティを考え,各アクティビティを処理するモジュールの情報構造およびモジュール間の情報伝達法をオブジェクト指向の概念に基づいて構築する考え方とその基本的な方法の提案を行った。 以上の研究結果により,当初目的とした,フレキシブルな生産形態における生産意思決定の分散と統合についての基本的な考え方およびその方法を提案し,ほぼその目的を達成できたものと考える。
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