研究概要 |
各種のセラミックスと金属との接合特性,すなわち“ぬれ性"の有無を簡単に知るための方法をとして,主として切削試験について検討し,超音波接合試験との対応を調べた。供試セラミックスを切削工具として供試金属を切削し,工具すくい面への金属の凝着状況や構成刃先の発生状況からぬれ性を判断することの妥当性を確かめるための基礎的な実験を行った。これは,工具すくい面上では容易に高温高圧が得られるだけでなく,ここで工具に接触する切りくず表面は完全に清浄な新生面であることを利用しようとするものである。 供試セラミックスとしては,成形ずみで入手容易な市販のクランプ型切削工具チップ(各種セラミックス,立方晶窒化ほう素焼結体及び多結晶ダイヤモンドを含む8種類)及び試製された8種類のファインセラミックスに切れ刃を砥ぎつけたものを用いた。また被削金属としてはアルミニウム合金と銅を用い,施盤上で100〜200m/minの通常の切削速度で切削した後,すくい面への凝着状況を顕微鏡(本研究費で購入)で観察した。 一方,同様の各種材料の組合せについて,超音波接合機(20KHz,600W,振幅約35μm)で接合試験を行い,その接合状況と切削試験の結果との対応を調べた。その結果,アルミニウム合金は試験したすべてのセラミックスに対してきわめてぬれ性が高いのに対して,銅は点状の付着痕が認められる程度で,全面的な凝着は認められない,という点で両試験の結果は完全に一致した。
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