研究概要 |
外輪回転形の磁性流体のスプラッシング特性が磁気回路ヨークとスピンドルとの間に形成されるメニスカス形状に大きく依存する点に着目して,高磁場中におけるメニスカス形状を実験的および解析的に定量化するための研究を進めた. (1)実験的検討: メニスカス形状を測定する方法として,レーザ光源からの平行光線を拡散板で位相を混合してメニスカスに照射し,その影をCCDカメラで拡大モニターする方法を導入した.この方法では,メニスカス表面の反射光により,流体の界面が明瞭に観察できるため,形状を高精度に測定できる.この方法により,シールギャップのクリアランスと磁束密度をパラメータにして,メニスカスの大きさとスプラッシング開始速度(臨界速度)との関係を実測した.メニスカスの大きさと臨界速度とはおおむね逆比例の関係があり,またクリアランスが小さく,磁束密度が大きい方が臨界速度は大きくなることを明らかにした. (2)解析的検討: メニスカス形状を解析的に決定する問題には,流体の自由表面を決定するSMAC法が適用できる.しかし磁性流体シールのギャップ部では,外力として磁力と表面張力を新たに考慮する必要がある.そこで,磁場解析における境界条件の影響が無視できるような広い範囲を磁場解析の対象として磁場分布を求め,矩形分割セルが必要な自由表面解析では,ギャップ部を含む局所領域を解析の対象とする計算手順を定式化するとともに,外力として磁力と表面張力を加えてSMAC法を拡張し,計算プログラムを開発した.これを用いて実験系のパラメータについて,メニスカス形状を計算し,実験結果と比較して,実験とよい一致が得られることを確認した.これにより,メニスカス形状の解析が可能となり,今後のスプラッシング特性の解析に有効であるとの見通しが得られた.
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