本研究は長い助走部を経て発達した乱流管内流が静止流体内に流出するときの噴流(以下、「(乱流)管噴流」と記す)の発達を能動的に制御することを目的として行ってきた実験研究である。H.4年度には管噴流と通常の縮流ノズルからの噴流(「ノズル噴流」)との中間に相当する場合(「準ノズル噴流」)も実験した。2年間に得た結果の概略を以下に列記する。 1.噴流出口からの下流方向距離がΧ/D=0.5〜2.5(D:出口径)で観測された速度変動の無次元卓越周波数fnD/Ue(Ue:出口中心流速)の値はΧ/Dとともに減少し、初期運動量厚さが薄いほど大きい。 2.Χ/D=3〜4における噴流型卓越モードfnD/Ueはいずれの場合も0.3〜0.5で、ノズル噴流のそれと同程度であるが、初期境界層厚さが約0.15Dを越えると、その影響が現れ、fnD/Ueの値は減少する。 3.乱流管噴流はノズル噴流に比べ、周期的人工撹乱に対する応答は鈍感ではあるが、適当な周波数と振幅をもつ撹乱を与えることによって、その発達をある程度制御することは十分可能である。 4.管噴流にfeD/Ue=0.1〜1.0(fe:注入撹乱の周波数)の範囲の撹乱を与えると噴流の広がりが増し、中心流速の減衰が早まる。この励起効果は、feD/Ue=0.45〜0.5のとき最大である。他方、feD/Ue=1.2〜2.0の範囲の撹乱に対しては乱流変動が抑制され、中心流速の減衰も遅まる。 5.準ノズル噴流の人工撹乱に対する応答は管噴流のそれと一見類似しているが、より敏感であり、同じ強さの注入撹乱の下で、管噴流の場合よりも大きな流れ場の変化が実現される。 6.準ノズル噴流の広がりを最大にする注入撹乱の周波数はfeD/Ue=0.55〜0.65で、管噴流のそれよりも高い。このとき、速度変動中には0.5feを中心とする周波数帯域の成分が顕著に現れるとともに、非励起時の卓越周波数成分が消失する。
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