研究概要 |
弾性表面波は伝搬面上の微小な水を流動させたり,飛翔させたりすることが分かり,それらの水の動きをSAWストリ-ミングと名付けた.本研究の目的は,このSAWストリ-ミング現象の解明を行うこと,及び電気的制御が簡単な微小流体素子としての特徴を有しているため,チュ-ブのない流体ガイドや,ポンプ,ノズルのないインクジェット素子などの液体輸送デバイスへの応用について基礎的な研究を行うことである.得られた成果をまとめると以下の通りである. 1.水を流動させたり,飛翔させたりする力をSAWストリ-ミング力と名付け,その理論式を導出した.周波数が異なるSAWデバイスを作り,SAWストリ-ミングによる力の測定を行い,理論式の検討を行った.その結果,周波数依存性を確かめることができたが,力の大きさが理論と不一致であり,さらに検討が必要なことが分かった. 2.SAWストリ-ミングのアクチュエ-タへの応用 (a)IDTモ-タの試作 交差指電極(IDT)を水中にいれ翼をストリ-ミングによる回転させたり直進させたりするもので,効率は悪いが音が無いなどの特徴を持っている. (b)微小ポンプの試作 二枚のガラス板の間に導入された液体をSAWストリ-ミングジェットにより連続的に空中に飛翔させるものである.飛翔方向や量の制御が可能である. 3.その他の応用 圧電セラミックス基板を用いると,基板面上が等方性なのでIDTを任意の位置に配置することが可能である.基板上で液体の移動方向を任意に制御できることを実験的に確かめた.微小量液体の混合や反応を行わせるシステムが実現可能である.
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