研究概要 |
本研究は,磁性流体層とそれを被覆する薄い弾性膜に対して進行波状磁界を作用させることにより,弾性膜に進行波動を発生させて,それに接する流体や固体等を推進駆動しようとする研究の一環として行なった。そこでは,動磁界の下での磁性流体と弾性膜の連成波動が主要な役割を担う。しかし,これまでにこの種の研究は皆無であるが,最近注目を集めている磁性流体の基礎および応用研究において重要となる。 平成3年度において,筆者はまず流体推進用の推進機構とその特殊な駆動回路を改良し,新たに薄い板状物体の搬送装置を試作し,その搬送挙動を詳細に調査し,興味ある基本特性と実用化への指針を得た。この研究成果は,2編の日本機械学会論文と,磁性流体連合請演会での講演論文として発表した。次に,上記の装置を用意して,コンデンサ-バンクからの放電電流を電磁コイルに流すことになる強い局所的バルス状磁界を掛けることによって発生する磁性流体と弾性膜の連成波動の伝播と過渡特性について実験的研究を行なった。ここでは,主として1個の電磁コイルによる単一パルスによる波動と,2個の電磁コイルを用いた2つのパルスによって発生する連成波動の相互作用について研究を行ない,特徴ある非線型分散性波動の現象を見出した。この研究成果は第4回電磁力関連のダイナミックスシンポジウムで発表の予定である。 これらの研究により,これまでにほとんど知られていない磁性流体と弾性構造の連成波動伝播および振動についての有用な知見を得た。
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