研究概要 |
3種類の速度比Um/Ue(最大流速の外部流速に対する比)の流れ場をそれぞれ作成し、平均速度場と乱流場の一部のデ-タを取得した。平均流場については、すでに日本機械学会論文集(57巻543号,1991ー11)に公表しているので、その要約をまとめておく。 1.3種の速度比(Um/Ue=2.0,2.9,4.0)の自己保存条件下の壁面噴流の流れ場を実現した。この場合、速度及び長さの尺度が条件を満足し、平均速度分布は各速度比ごとに相似性を有している。 2.内層の速度分布は速度比の影響を受け相似とはならない。しかし、対数速度分布は成立しており、その傾き及び切片の値が速度比により異なる。一方、外層の速度分布は速度比によらず相似となる。 3.局所摩擦抵抗係数の値はレイノルズ数Rm=Umbm/r(bmは内層厚さ)に対し、あるばらつきの範囲内で減少傾向を示す。しかし、他研究者の実験式と一致せず、速度比による系統的変化がみられる。 4.長さの尺度についてみると、速度比の減少につれ半値幅の発達率は減少する。一方、内層厚さの発達率はわずかに増加する。 次に乱流場について、平成4年4月に発表予定の内容をまとめておく。 1.乱れ強さの3成分及びレイノルズせん断応力分布は、全ての速度比において相似となる。しかし、その相似分布は互いに異なる。 2.内層の乱流分布への影響については、速度比の減少につれ、乱れ強さの3成分の値とレイノルズせん断応力の壁近傍の値が増加する。一方、外層の分布への影響は速度比の減少につれ、レイノルズせん断応力の極小値の絶対値の増加として生じる。 3.レイノルズせん断応力が零となる位置は速度比の減少につれ高い位置に移動する。 この他、大渦の形象,発生周波数等について検討を加えている。
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