研究概要 |
圧力勾配のない2次元の層流境界層(超臨界)を平板壁に開けた小孔から短時間断続のジェットを境界層中に噴出し,局所的に強く攪乱すると乱流斑点の萠芽が作られ,下流に成長発達し,乱流斑点になる。 この発達過程の初期,即ち,本研究の実験條件で発生孔からその15cm程度下流までの間ではジェットの噴出毎に作られる斑点の再現性が良好で瞬間速度波形が再現する。 この領域内の攪乱を層流斑点と名付ける。層流斑点の下流発達は次々に横(Z)方向に新しい構造が発生することにより,その平面形を拡大するなど,乱流斑点に類似するところが多い。 本研究では,再現性の良いことを利用し,ジェットの噴出毎に横断面上の多数の点で,熱線風速計を通過する斑点の瞬間速度波形を,発生器をトリガーした時刻を基準として集録し,これらを組合せてy,z,t空間での流れ場の瞬間像を明らかにすることにより,下流発達過程の解明にあたっている。 即ち,χをきめ,厚さ方向(y)に約12mm,Z方向に約32mmの範囲のyZ面を1728個の觀測点でおおい,斑点発生器をトリガーする毎にプローブを通過する斑点の瞬間速度波形を集録する。しかし,再現性は良好であるが,測定時間を短縮することが好ましいので16本の熱線をもつ熊手形プローブと16チャネルAD変換・ディジィタル波形集録装置により16点の主流方向瞬間速度波形の同時測定を行い測定時間を縮減している。 これらの装置の整備・増強は終っている。 流れ場を可視化するために,パソコンを使い,1728本の波形データを処理し,主流方向速度の等速線図を描く。ひとつのχに対して,y,z,t空間の等速線図であるので,3個の変数の1個をパラメターとし他の2個の変数で作る面での等速線図を描くためのパソコンの機能の強化とプログラムは略て完成し,データの集積が行われている。 平成4年7月の乱流シンポジウムで噴出ジェット幅の影響について発表した。
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