研究概要 |
前年度までの実験結果の吟味から、層流斑点の先端部に発生し、下流に発達する突起の数は斑点発生孔からのジェットが層流境界層に直接作り出す流れ場の不安定性に依存していることが分かった。そこで、噴射ジェットの波形は変えないで、ジェットの波高値および半値幅を系統的に変える実験を行った。すなわち、発生器駆動電圧の波高値を三種類、半値幅を三種類、計9個の組み合わせを使い、それによって作られる層流斑点の主流方向瞬間速度波形を多線熱線プローブで測り、未攪乱層流境界層速度からの偏差速度の等速千図を色々の断面で描くことにより、流れ場を可視化して、流れ場の構造とその下流発達を調べた。測定範囲はジェットの直接的な影響が強いと考えられるX=0(ジェット発生孔)から10mm(≒5delta^*)下流までとした。作られる流れ場は中心線に沿う細長い低速領域と、その両側に高速領域が並んだ形をしている。これらの領域はほぼ、主流方向に平行に並び、より下流で見られるように、高速領域のさらに外側に新しく低速領域が形成される、あるいはそれぞれの領域が屈曲し、入り混じるようなことはこの範囲では起こらない。低速領域には、より下流で先端部の突起に発達する局所的に剪断の強い部分が、中心線に沿って数個存在する。X=0においても、この強い部分は既に存在している。そして、その数は下流発達中に増加する。X=10mmまでの間における強い部分の数とのその間での数の増加、また強い部分の流跡を追うことから、強い部分の時間間隔に及ぼすジェットの特性(波高値、半値幅)の影響などを明らかにした。また、Y-T,Z-T,Y-Z断面主流方向等偏差速度線図から見た流れ場の下流発達を描き出し、ジェットの特性と作られる層流斑点の構造とその下流発達への影響を明らかにし、平成5年7月の第25回乱流シンポジウムで発表した。また、多くの描画用プログラムを作り、まとめの作業を行っている。
|