光をあてると屈折率が変化するPhotorefractive結晶のひとつである珪酸ビスマス(BSO)結晶をホログラムの記録媒体に用い、これによる実時間ホログラフィ-干渉法を確立し、全電気的プロセスで流れの可視化、計測を行うシステムの実現を目的としている。本年度の実績として、 1.BSO結晶のホログラム記録特性について、理論的解析を行い、ホログラム回折効率に影響を及ぼす材料パラメ-タ、印加電界、照射光量、干渉縞間隔、再生入射角、結晶厚さとの関係を明かにした。 2.実験的にBSO結晶のホログラム記録、再生、消去特性についての検討を行い、BSO結晶の材料パラメ-タ、印加電界、再生入射角、結晶厚さ等に対する回折効率の関係を求めた。回折効率を最大にする結晶厚さは、吸収係数と再生光波長で決まり、また、印加電圧は、材料パラメ-タでその上限が決まる。 3.CCDカメラとVTRにより、干渉縞画像を記録、ディジタル化し、その干渉縞の解析に画像メモリと画像解析用の計算機を導入し、小型の画像解析システムを構成した。干渉縞解析には、フ-リエ変換法を使用した解析プログラムを作成した。 4.液体中での超音波波面の可視化、音圧測定を行った。200KHzの超音波による音圧で、液体の屈折率が変化し、光路長変化が干渉縞パタ-ンとして現れる。このパタ-ンより音圧変化を求め、画像化すると、超音波の可視化像が求められた。 今後の検討課題として、ホログラム記録時間の短縮、BSO結晶厚さ、高電圧印加のためのBSOセル構造、結晶内での多重反射光の除去、キャリャ-縞付与機構が挙げられ、さらに50万分の一秒での干渉縞高速度記録による流れの可視化、計測について検討する。また、今回の結果発表については、現在、準備中である。
|