研究概要 |
エネルギ-の高効率・有効利用のために高性能熱交換器が開発され,さらにはエレクトロニクス技術の飛躍的進展とともに電子機器の冷却技術の向上が強く要請され,きわめて複雑な構造を有する高性能伝熱面の開発も急速に進んでいる.しかしながら,これら熱交換器の運転に伴い発生し,そして付着する汚れによる熱伝達性能劣化に関する研究はきわめて不十分である. 本研究では,円管と軸比1:3の楕円管に関するこれまでの研究で明らかにされた成果をふまえ,伝熱面要素として工業的には最も良く使用されている円管群を取り上げ,汚れの付着に伴う熱伝達性能劣化を明らかにしようとしたものである.具体的には,一行円管群を供試モデルとし,汚れとしてはシリカを主成分とする地熱スケ-ルを採取,乾燥させた後ふるいで一様な大きさの粒子として伝熱面に付着させ,直交気流中における強制対流熱伝達の実験を行った. まず,清浄面と種々の大きさのスケ-ルが付着した単独円管の局所および平均熱伝達特性を測定することによって本実験の精度,妥当性を既存結果と比較しながら確認した. ついで,一行円管群の熱伝達性能を,伝熱面に種々の大きさのスケ-ルを付着させた状態で,広範囲にわたりレイノルズ数および円管間隔を変化させて測定した.その結果,円管群の熱伝達性能は,汚れの付着により,局所的にはもちろん平均的にも大きな影響を受け,しかもその度合は円管間隔のみならずレイノルズ数に著しく依存すること,さらにはスケ-ルの種類にも依存することが明らかにされた.今後は水流中における実験を行うなどにさらに研究を重ねる予定である.
|