研究概要 |
ステンレス直円管を用いた熱サイフォン型ヒ-トパイプにより,加熱部及び冷却部の熱伝達を評価・設計する手法を確立するための実験研究を行った。ヒ-トパイプは内径19.5mm,長さ1mの大きさであり,大容量の入熱を実現するため,低電圧交流による直接通電手法を取り,低熱量からバ-ンアウトが発生する限界熱量までの広い範囲での実験を、作動流体として、水,エタ-ノル、フロンRー113を用いて行った。その結果以下の知見を得た。加熱部における熱伝達は従来発表されている平板上での核沸騰熱伝達の整理式に比べ,圧力の影響は同様となるが、熱伝達率の絶対値は2〜3倍大きくなることを明らかにした。この伝熱促進は、ヒ-トパイプ伝熱空間が比較的狭く、垂直方向に長いことに原因していることを示し、クタテラッシェの相関式に密度比の項を追加し,定量的な評価法を提案した。またこの提案した式には伝熱面粗さの効果も考慮し、他研究者のデ-タも±30%の誤差で予測できることを示した。断熱部の壁温は一般には冷却部から環流するサブク-ル凝縮液のために飽和温度より低くなることを明らかにし、作動流体の代表温度としては加熱部の液温が最良であることを示した。冷却部の壁温は加熱部から蒸気流により随伴する液滴・液塊の影響を排除した実験を行い、コサイン分布は液滴とその液が上部でトラップされることに依っており,冷却部熱伝達モデルにはその効果を考慮する必要があることを示した。
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