研究概要 |
化学気相成長(CVD)法による薄膜は,母材と異なる耐摩耗,耐酸化,低光損失,高強度および超伝導性などの優れた特性を示し,半導体分野のみならず材料分野においてもその広範囲な用途から将来性が注目されている。しかし,材料としてこれらの特性を十分に活用するためには,膜厚と組織の均一性及び高い定着性が必須であり,従って,薄膜製造においてはこれらの条件を含めた生産性の高さが要求されることになる。 本研究は,CVD薄膜が工業材料として先導的な役割をもつ上でも不可欠である膜厚・組織の均一化の制御を含めた生産性の高い製造技術を確立することを目的に,気相で生成した微粒子を基板に堆積させ薄膜化するPPCVD(Particle Precipitation aided CVD)法を対象に基礎的プロセスについて追究したものであり,in-situな実験とCSM(Critical Supersaturation Model)に基づく理論的解析を行い,以下の成果が得られた。 (1)化学気相成長(CVD)法による薄膜製造法の現状,および工業材への応用技術ついて物理的方法を含めて調査され,各種データが収集された。 (2)原料ガス流中の核生成-拡散・輸送と基板上での凝集・成長の過程に対して,温度・濃度共存場における速度論を展開し,その過程を明らかにした。 (3)微粒子生成と基板上での衝突捕集による膜厚さ・表面構造に対する操作因子の影響をin situな実験により明らかにし,理論との対比のもとで薄膜の成長機構を明らかにした。 (4)高効率な装置の最適化の基礎を確立した。
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