電子写真方式を用いたプリンターの印字速度の高速化に伴い必要とされる微細高分子ポリマー粒子(トナー粒子)の高速融解現象の解明を行い、次にあげられる事項をそれぞれの実験・解析により明らかにした。 画像処理解析 実験用高分子ポリマー粒子を輻射加熱し、融解過程における外形変形の非定常変化を顕微鏡CCDカメラでビデオ撮影し、画像処理ボードを用いてマイコンで定量解析し、融解時の形状パラメータの粒子径・加熱量に対する変化が非線形変化を示すこと及び融解の過程において重要な要因である粒子の加熱面形状の推移と融解の過程で一時的に生じ、印刷像の鮮明化に影響すると思われる表面形状の波打ち化を明らかにした。 透過光内部解析 まず、実験用高分子ポリマーを予め融解させ成型加工した光学特性解明用の試料を作成し、光学分光計を用いて輻射加熱光に含まれる各波長についての吸収率・透過率・反射率などの測定を行い、使用している物質の各温度における静的な光学特性を明らかにした。その後、レーザー光源を用いて、微細径光線(ビーム径20μm)の平行光をレンズ系により作成し、高分子ポリマー粒子の中心を通るように挿入し、その透過光を半導体受光素子を用いて受光しAD変換器を経由してパソコンに取り込み非定常計測を行った。得られ透過光変化を先の温度に対する静的な光学特性により変換し、通過光軸上の内部物性・相変化の解明を行った。また、受光素子に2次元CCDを用いた実験、透過光の偏向測定も行い、より詳細な現象の解明を試みた。 数値シミュレーション 融解時の外形変形に伴う境界条件変化を組み込んだ解析コードを作成して、上記の外形変形の画像処理結果を境界変化に用いて内部解析を行った。また、輻射加熱によってもたらされる粒子内部の局所加熱量の光学特性による変化についての解明を行い、同時に添加物の影響についても解析を試みた。
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