研究概要 |
平成3年度には,金属実在表面の熱ふく射性質に関してつぎの分光学的研究を行った。 1.高温酸化過程にある金属表面の反射性質の推移に関する数値実験: 高温の実環境下にある金属では表面被膜が成長し表面はあらく推移するが,この研究では,離散型の3次元フラクタル表面に,非平行薄膜要素が成長する系を考え,その系でのふく射の干渉と回折現象・反射性質の動的推移を電磁波動論的にとり扱かった。 2.あらい表面形状のRGB型モデルの反射性質に関する数値実験: あらい表面形状をFourier解析して求めたパワ-と位相のスペクトルは,表面の詳細構造を記述するが,一方,その連続スペクトルを少数の離散的な振動数のδ関数波の重ね合わせとして表し,その反射性質をよく記述することも可能である。この研究では,表面のスペクトルに対してRGB3色法を適用することを提案し,この点を検討した。 3.あらい表面形状をもつ薄板状粒子におけるふく射の散乱に関する数値実験: 幾何形状の単純な粒子におけるふく射の散乱現象は,完全に記述されているが,実在の粒子は表面には凹凸があるので,そこでの散乱現象は,粒子と粒子の表面構造とふく射の波長の関係する粒子散乱・表面散乱の複合現象となる。この研究では,フラクタル表面をもつ薄板状粒子における散乱現象を電磁波動論的にとり扱った。 4.半球反射率測定装置の開発: ふく射の波長0.4〜1.1μm域において,垂直入射半球反射率・半球等強度入射半球反射率測定装置を開発した。この装置は,(垂直入射・半球)吸収率の絶対値のスペクトルを与え,また,垂直入射に対する反射の角度特性,斜め入射半球反射率を測定する。この装置を,あらい金属表面の反射性質の測定に応用し,その結果を実在表面の反射性質モデルの予測と比較し検討した。
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