金属面上に形成された微小な穴の開口部にレーザー照射することで融解させ、この自由表面を伴う溶融金属の流動・凝固過程での表面張力を考慮した伝熱解析と実験を行ない、以下の結論を得た。 (1)本解析は、自由表面を伴う溶融金属が穴の中に流れこみ凝固する系に対して適用できた。 (2)実験により得られた表面張力の影響は、解析結果により証明された。 (3)金属の融解・流動過程は以下のようであった。 (a)Stage(I):穴の上の角部近傍と下の角部近傍が別々に融解し始める。その際、表面張力のため穴の角部をまるめるように融解する。そして、表面張力と重力が釣合うことで、穴の上の角部近傍の溶融金属はその位置に留まる。 (b)Stage(II):さらにレーザーを照射すると、上下の溶融金属が接触し、上部の溶融金属が一気に穴の中に流れ込む。 (c)Stage(III):流れ込んだ溶融金属により穴が埋まり、時間の経過とともに溶融金属の流れが止る。 (4)実際のビアホールの埋め込みおよび配線の平坦化のための条件として、上下の溶融金属が接触するまでの時間とStage(I)での金属の融解量が重要な因子であることを示した。 (5)実際の系と同じ寸法と時間スケールにおいて、溶融金属が穴の中へ流れ込む現象は主に表面張力により支配されていることを示した。
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