レーザー照射による半導体のVLSI配線の信頼性の向上を図るための基礎的データを与えることを目的とし、レーザーによる融解・流動・凝固過程の中から"物質の放射による融解"と"レーザーにより融解した物質の表面張力と重力による流動・凝固"の2つの現象に着目して伝熱解析を行ない、以下の結論を得た。 (1)表面張力を無視できる大きな寸法のく形のくぼみを持つ基盤上にできた氷(光エネルギーに対して半透過性を有する)を、ある波長特性を持った放射熱源により上部から照らすことによって融解させた。その融解過程に関する、対流と光エネルギーの透過・吸収を考慮した解析と実験を行なった。そして両者の結果を比較・検討することによって解析の有効性を示した。さらに、解析によって熱源黒体温度、基盤の物性値、氷内気泡、基盤底部の熱的条件がこの融解過程に与える影響を明らかにした。 (2)金属面上に形成された微小な穴の開口部にレーザー照射することで融解させ、この自由表面を伴う溶融金属の流動・凝固過程での表面張力を考慮した数値解析と実験を行なった。そして、解析と実験結果の比較・検討から本解析の有効性を確認した。さらに、解析により実際の系と同じ寸法と時間スケールにおいて、レーザー照射された金属(アルミニウム)が溶融して凝固するまでの過渡的な挙動を示した。そして、融液の穴への流れ込みという現象は主に表面張力により支配されていることを明らかにした。
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